石油&ガスの上流プロセスの自動化がメタンの排出削減をどのように後押しするか

International Oil and Gas Engineer, 2024年2月


石油&ガスの上流プロセスの自動化がメタンの排出削減をどのように後押しするか

メタンは、熱を大気中に閉じ込める強力な温室効果ガスです。メタンは、二酸化炭素(CO2)に次いで2番目に多く存在する人為的な温室効果ガスであり、その100年GWPは二酸化炭素の28倍です(1。

そのため、世界中の政府や企業が、産業プロセス全体をとおしてメタンの総排出量を削減することがますます重要になりました。

石油&ガス産業は年間約8000万トンのメタンを排出しており、これは人間の活動によって排出される量の約40%を占めています。こうしたメタンの排出は、漏れ検知、修理計画、漏洩設備の更新などのソリューションにより、75%以上削減することができます。石油&ガス分野におけるメタンの排出削減は、非常にコスト効率良く達成することができます。正味費用をかけずにメタンの排出を約40%防止することができます(2。

石油&ガスの上流部門業務とプロセスの自動化は、高度な制御、低電力消費、高信頼性、現場サービスの容易化をもたらすと同時に、排出量の削減を手助けします。上流部門のメタン排出量を削減する効果的な方法は、空圧式アクチュエータの代わりに電動アクチュエータを設置することです。

石油&ガスの上流アプリケーションのための電動アクチュエータ

電動アクチュエータは、圧縮空気ではなく、電力を動力源としています。伝統的に、上流の生産プロセスの調整弁は、圧縮空気を動力源とする空圧式ダイアフラムアクチュエータを使用して制御されており、バルブがストロークするたびにメタンを排出していました。一方、電動アクチュエータは稼働中にメタンを排出することはありません。

電動アクチュエータは空圧式アクチュエータや制御機器ほどメンテナンスを必要としません。 ロトルクの電動アクチュエータは、自立型一体型アクチュエータであるため、複数の装置で構成される一般的な空圧式のそれよりも、故障のリスクが軽減されます。

複数の部品とシステムを内蔵する空圧式アクチュエータを自己充足型電動アクチュエータに交換することは、コスト削減と、動作効率の向上につながります。

ロトルクのIQ、CMA、CVA等の電動アクチュエータは、試運転調整プロセスを簡素化するユーザーフレンドリーなインターフェースを特長としており、石油&ガス産業のバルブ用途に最適です。

電動アクチュエータには、空圧式のそれと比較して、多大なメリットがあります。空圧式アクチュエータは、アクチュエータ単体ではなく、複数の部品で構成されており、その全てが空気の品質の変動や、温度変化及びその他環境要因に影響を受けることがあります。

一方、電動アクチュエータは、空圧式アクチュエータほど上記要因の影響を受けません。電動アクチュエータは、作動中以外は電力を消費しないため、エネルギー効率がより高くなります。対照的に、空圧式アクチュエータや制御装置の場合は、配管中の流動ガスや現場で生成した圧縮空気を絶えず供給する必要があります。

ロトルクの電動アクチュエータの多くは、電源喪失時や緊急時にバルブを自動的に指定位置まで復帰させるフェイルセーフオプションを備えているため、高い安全性を確保し、機器の潜在的な損傷を防止することができます。

これらアクチュエータは高度診断機能を備えており、状態、性能、潜在的な異常を遠隔から監視することができます。このため、異常を早期に特定、解消し、突然の故障やそれに伴う稼働停止を防止するといった事前対策が可能です。

信頼性の高い高度な自動化ソリューションは、温室効果ガスの排出量削減と、効率の向上、さらには生産量の増加に役立ちます。

1. Overview of Greenhouse Gases | US EPA
2. 情報源: The international energy agency, global methane tracker 2023

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